人材派遣最大手のグッドウィル(東京都港区)が、日雇い派遣労働者の給与から「データ装備費」名目で天引きしたのは不当として、派遣労働者の労組組合員26人が計約455万円の返還を求めた訴訟の第1回口頭弁論が1日、東京地裁(渡辺弘裁判長)で開かれた。会社側は答弁書で徴収の違法性について争う姿勢を示し、請求棄却を求めた。
同社は今年4月まで、けがや物損事故の保険などと説明して、派遣の仕事1回につき200円のデータ装備費を徴収していた。組合員側は「使途が不透明で、保険が使われないケースもある」と徴収は公序良俗に反すると主張。同社は5月に徴収を廃止し、過去2年分に限って返還を決めたが、それ以前については返還に応じていない。
この日の弁論では原告2人が意見陳述。「契約した時に、会社からデータ装備費の説明は何もなかった。仕事中にけがをした際に保険は支払われず、作業着も自費負担だった」などと訴えた。
学歴を得るために消極的に大学に入学し、進級・卒業するためにまじめにキャンパスライフを過ごし、就職活動は安定志向−。社団法人「日本私立大学連盟」がまとめた学生生活実態調査で、こんな傾向が強まっていることが分かった。希望すれば誰でも入れる「大学全入時代」を象徴しているようだ。
調査は4年に1度、調査票記入方式で実施。今回は昨年9〜10月、加盟する122私大の学生6639人が回答した結果をまとめた。回答率は68・0%。
大学進学の目的では「大卒の学歴が必要」が50・2%でトップ。「家族、先生の勧めや友人も進学するから」(26・2%)とともに4・6ポイント増加し、主体性に欠ける傾向が強まった。その半面、「自分のしたいことを探す」(35・7%)は5・7ポイント減。「自由、青春を楽しみたい」が4・2ポイント、「より深く学んだり研究したい」は1・2ポイント減らした。
大学生活で大切なことについては「進級・卒業」(21・0%)が12・5ポイントの大幅な伸びを示した。「講義・ゼミなどの出席」(21・9%)や「良い就職先を見つける」(12・2%)も3ポイント前後増えた。
代わりに、「良い友人・先輩を得る」「趣味を生かし才能を伸ばす」「経験を豊富にし見聞を広める」「専門的知識・技術を習得する」は6・6〜3・2ポイント減らした。形式的な勉強を重視する姿勢が強まっているようだ。
どんな企業を志望するかでは、「安定している」(47・9%)が2ポイント増加し、トップに躍り出た。「給与が高い」(24・9%)も3・9ポイント増えて3位。安定志向が強いようだ。
逆に、前回首位だった「自分の能力をいかせる」は38・1%と9・4ポイント減少して2位に転落。もともと少なかった「能力主義が徹底している」は3・5ポイントも減らし、2・9%に落ち込んだ。
調査した私大連盟では「進級、卒業、就職という現実的意識が思いの外のしかかっている」としている。
和田秀樹・国際医療福祉大教授の話 「就職氷河期が終わり、大手銀行が2000人規模で採用するなど“売り手市場”になっている。大量採用時代になり、企業側はベンチャー精神がある人材より、無難な優等生を求めるようになった。学生気質が変わったというよりは、社会環境の変化に学生が敏感に適応した結果ではないか」
毎日新聞がアフラックの協力を得て実施した面接世論調査(9月7〜9日実施)で、年金制度の将来について特に心配している点を聞いたところ、「国が年金制度を維持できなくなる」を挙げた人が2年前の調査より4ポイント増えて32%となった。最多回答は「今よりも給付額が減る」の44%だったが6ポイント減。若い世代を中心に制度の縮小ではなく、存続自体に不安を抱く人が増えている。
受給世代の70代以上は56%が「給付が減る」を挙げ、「制度を維持できなくなる」は17%。ところが、20代は「維持できなくなる」45%、「給付減」34%だった。
ただ、公的年金にどの程度頼りたいかは「全面的に頼りたい」という人が昨年の調査より4ポイント増の40%。制度存続に不安を感じながらも依存せざるを得ないと考える人が増えていることが浮かんだ。
年金制度を維持する方法についても年代による違いが表れた。「給付水準をカットし、現役世代の負担を増やさない」と答えた人は、70代以上は29%にとどまったのに対し、働き盛りの30代は45%を占めた。
消費税を社会保障目的税化して引き上げ、年金財源とすることに関しては、賛成が42%で反対は53%だった。
舛添要一厚生労働相は29日午前の民放テレビ番組で、社会保険庁や自治体の職員による年金保険料の横領・着服問題への再発防止策として「社会保険事務所の窓口で掛け金を支払うことを一切やめさせる」と述べた。全国の社会保険事務所の窓口で実施している国民年金保険料徴収の窓口業務を、来年3月までに廃止する方向で検討する考えを表明したものだ。
番組出演後、舛添氏は記者団に対し、窓口業務廃止の理由について「社会保険事務所の窓口で現金決済したから問題が起きた。ここまで役所の窓口が信用されないのは困ることだが、銀行は信用できるが社保庁は信用できないという残念な状況がある」と説明した。
国民年金保険料の納付方法の内訳は口座振り替えが約6割、銀行や郵便局など金融機関窓口での振込が4割弱。社会保険事務所の窓口での納付は1%台にとどまっている。そうした現状を踏まえながらも、舛添氏は「どうしても『社会保険事務所の窓口で払いたい』という人が出てくる可能性はある」と語り、法令改正の有無を含め早急に具体策をまとめる方針を示した。
20歳以上の学生の国民年金加入が任意だった91年4月以前に、未加入のまま重い障害を負った東京、千葉、新潟の元学生らが、障害基礎年金の支給などを国に求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は28日、いずれも上告を棄却した。「法の下の平等に反し違憲」との原告側主張に対し、判決は「国会の広い裁量の範囲内で合憲」と退けた。原告逆転敗訴の2審・東京高裁判決が確定した。
全国9地裁に起こされた学生無年金障害者訴訟で初の最高裁判決。社会保障制度に関して国の幅広い裁量を認めた従来の判例に沿った判断で、残る7訴訟でも元学生側の違憲主張は退けられる見通しになった。
原告側は、当時の国民年金法を巡り(1)同じ未加入でも、20歳未満で障害を負ったら支給され、20歳過ぎだと不支給(2)同じ20歳以上でも、学生以外は強制加入なので原則支給され、学生は任意加入が必要−−などの規定が「平等に反する」と主張した。
判決は(1)について、所得保障の必要性が高い20歳未満の障害者に限り、保険料負担なしに支給する例外的な制度と判断。(2)でも、保険料負担や加入の必要性・実益などを考えて学生に判断を委ねた仕組みだと指摘。いずれも「著しく合理性を欠くとは言えず、原告側が主張する差異は、不当な差別的取り扱いとは言えない」と結論付けた。
原告は東京、新潟両地裁に訴えた男性5人(47〜40歳)。1審は04年、「不平等の救済措置を怠った立法不作為は違憲」と述べ、1人700万〜500万円の賠償を国に命じたが、2審は05年、請求を棄却し、原告側が上告していた。
一方、広島地裁に起こされた訴訟について、最高裁第3小法廷(堀籠(ほりごめ)幸男裁判長)は28日、判決期日を10月9日と指定した。請求棄却の広島高裁判決が確定する見通しで、これで違憲判決が出た東京・新潟・広島の3地裁の原告は全員敗訴することになる。

