アスベスト(石綿)による健康被害救済新法が27日、施行された。療養手当や特別遺族弔慰金などの給付申請の受け付けは既に20日から全国の地方環境事務所や一部の保健所などで始まっており、環境省のまとめでは、24日までに郵送も含め申請件数は277件で、窓口相談は190件だった。
時効の5年を過ぎ、労災申請できなかった元従業員の遺族の申請受け付けも、20日から全国の労働基準監督署で始まっている。厚生労働省が集計しているが、まだまとまっていない。
申請数について民間団体の全国労働安全衛生センター連絡会議(東京)の古谷杉郎事務局長は「該当者は数千人規模でいるはず。まだまだ制度や申請を知らない人も多いのではないか」とみている
団塊の世代の定年や少子高齢化の進展で、労働力人口の減少が見込まれるなか、企業に六十五歳までの雇用を義務付ける改正高年齢者雇用安定法が四月一日に施行される。多くの企業では退職・再雇用による対応を整えており、意欲と能力のある高齢者の雇用を六十五歳まで確保して、“生涯現役社会”実現への第一歩が踏み出される。
改正法は男性の老齢厚生年金(定額部分)の支給開始年齢が段階的に六十五歳まで引き上げられることを受け、六十代前半が「収入空白期間」になることを避けるため、企業に雇用延長を義務付けるものだ。
具体的には、十八年度は六十二歳までの雇用を義務付け、十九年度に六十三歳、二十二年度には六十四歳まで順次、引き上げていく。同年金が六十五歳からの支給になる二十五年度には、雇用もあわせて六十五歳までとする。
雇用延長は(1)定年の廃止(2)定年延長(3)退職・再雇用−のいずれかとなる。厚生労働省が、従業員三百人以上の企業一万二千二十社の取り組み状況を今年一月一日時点で調査したところ、すでに対応済みを含め93・6%の企業は退職・再雇用の対応と答えた。定年廃止は0・5%、定年引き上げは5・9%だった。
厚労省は「各企業が経営や労使慣行の実態にそって、最適な制度を選択した結果」とみる。ただ、再雇用制度は原則、希望者全員を対象とするが、労使で策定した一定の選定基準のもとに再雇用者の選別は可能で、「対象者の約六割が再雇用を希望したが、うち一割がはじかれた」(東正元・トヨタ労組委員長)との事例もある。
このため、改正法は企業に対し、再雇用がかなわなかった人の職務経歴や技能や知識などを記載した求職活動支援書を、作成して渡すよう義務づけている。
また、選定基準の策定が四月に間に合わない企業は経過措置として、就業規則に基準を定めて対応することも認められている。
厚労省では、六十五歳までの雇用延長を定着させたうえで、今後は六十五歳を超えてなお就労意欲のある人についても、ハローワークを通じた求人開拓など、再就職支援にも乗り出す考えだ。
民間の労災に当たる国家公務員の公務災害で、ストレスによる精神疾患や過労死など補償の認定が難しいケースが増えていることから、人事院は23日、補償認定の体制を見直すことを決めた。
具体策を検討するため有識者の研究会(座長・西尾隆国際基督教大教授)を設置。27日に初会合を開き、年内に報告書をまとめる予定。
国家公務員の場合、勤務中のけがや死亡事故が起きると、各省庁の人事担当部署が補償の認定、療養補償や遺族補償の金額算定を担当している。
今年4月からは単身赴任先と実家の間を往復する間の災害などにも対象範囲が広がるほか、近年、過労によるうつ病や自殺など認定が難しいケースが増加。
政府は27日、アスベスト(石綿)問題対策で関係閣僚会合を開き、被害者救済や今後の被害防止、国民の不安解消を柱とする総合対策を決定し、新法を来年1月の通常国会の冒頭で提出することを明らかにした。
焦点だった労災認定対象外の被害者救済については新法案に、既に亡くなった被害者遺族に合計約300万円を支給するなどとした具体的額を盛り込んだ。
新法案によると、救済給付の支給は公布から6カ月以内で、事業者からの徴収については2007年4月1日からと明示。負担割合については労働者を雇用する事業主全部のほか、石綿関連企業に追加負担を求めるが、詳細は来年早々に有識者らによる検討会を発足させ、06年度中の早い時期に決定することを確認した
政府は29日、アスベスト(石綿)の健康被害対策で4回目の関係閣僚会合を開き、労災補償の対象とならない住民や従業員の家族らを救済するため「石綿による健康被害の救済に関する法律(仮称)案」の大綱を決定した。救済のため国や自治体からの公費支出に加え、全企業に費用負担を義務付け、基金を創設することを盛り込んだ。
二階俊博経済産業相は記者会見で、企業負担は約260万事業所で総額約270億円になるとの見通しを示した。
政府内では、過去に亡くなった被害者の遺族に260万円の特別遺族弔慰金を支払う方針で検討してきたが、大綱には金額は明記されず先送りされた。上積みには政治決断が求められる。額は年内に決定、来年の通常国会に法案を提出する。

